序章

会わなくても目に浮かべ、すぐ想像することができる。野球場の外野席で、なりふりかまわず大好きな選手に声援を送るおばあさん。頭に応援するチームのキャップを被り、もちろんユニフォームも着ていることだろう。

隣には、母親が年甲斐もなく興奮しすぎて、倒れるのではないかと心配する娘の姿。彼女は、もう中年でいい年のおばさんになっている。母親を気遣って、野球観戦どころではないだろう。